黒酢とは本来、鹿児島県福山町でカメ壷による露天醸造法により、1年以上熟成させて造るお酢のことで、別名壷酢とも呼ばれています。近年では黒か茶褐色である健康食品としての酢を黒酢と呼ぶのが一般的です。
食酢の日本農林規格(JAS)の見直しが行われ、原料や製法、成分内容による黒酢の規格化が決まりました。まるしげ玄米黒酢はJAS規格の基準に基づいた商品です。
黒酢が黒いのはカメ壷の中で半年以上の長い発酵・熟成の期間に、液中のアミノ酸と糖が次第に反応して黒い色素ができるためと言われています。
人工的に熱を加えることで黒くすることもできますが、福山地方で造られる黒酢の色は、カメ壷の働きで自然に生まれてきたものです。
何十年もの黒酢作りの中で、突然変異変異的に生まれるわずかな種酢を加えることによつて、福山地方独特の黒酢の色ができるのです。
もろみ酢とは、沖縄の泡盛の製造過程から出るもろみから作られた酢です。最近になってクエン酸の効果が注目されるようになり、脚光を浴びるようになりました。
黒酢にはクエン酸は含まれていませんが、代わりに酢酸が豊富に含まれています。
酢酸は体内に入るとクエン酸と同じ作用がありますので、もろみ酢と黒酢の効果はほぼ同じと言われています。
酢の消費量が世界1位の中国では、黒酢がしょう油のような感覚で使われており、この黒酢の代表格として知られているのが「香醋」です。
特徴としては、ツヤのある黒色をしており、香りが強く、中華料理などの油料理と非常にマッチします。原料は米で、アミノ酸が含まれている点は壷酢と非常に似ていますが、クセが強く、飲むのにはあまり適していません。
鹿児島県の福山町で黒酢づくりが根付いたのは、原料となる米が豊富にあったこと、よい水に恵まれていたこと、そして温暖な気候という黒酢づくりの条件を満たしていた事が上げられます。
不思議なことに同じ製法で隣町で造ったとしても、上手く黒酢ができないという話もあります。町全体に住み着いた菌が何か作用しているのかも知れません。
鹿児島地方では仕込み用の壷を「アマン壷」と呼んでいます。黒酢は酢の精製のために必要な発酵をすべてこのアマン壷のなかで行う珍しい製法で、世界では他にイタリアのバルサミコ酢だけがこの製法で造られています。
黒酢はアマン壷の中でゆっくりと1年~1年半熟成させます。時間をかければかける程濃い褐色になり、味わいや香りも深まります。
長年使われている壷には醸造に必要な酵母や酢酸菌が多く付着し、それが独特の味わいを生むのです。
黒酢によっては3年熟成しているものなどもあり、熟成させる程、味はまろやかにマイルドになりますが、重久盛一酢醸造場では黒酢が調味酢として一番美味しい1年~1年半ぐらい熟成させているお酢を出荷しております。
半年間熟成させた後、大きな壷でさらに熟成させていますので、1年半の熟成期間でも充分に酸味と旨みとコクがあり、まろやかな味わいになっています。
はい。黒酢を作る過程で、一度アルコール発酵が起こり、お酒ができます。ですから、お酢の醸造元はお酒の製造免許が必要です。
一般のお酢の場合は、最初から出来たアルコールに酢酸菌(酵母)を加えますので、お酒になるまでの時間が短縮され、早く作ることができます。
まるしげ玄米黒酢の製造は次のような特徴があります。
1. 原料にビタミン・ミネラルが豊富な麦芽とぬか(食物繊維)が残っている玄米(9分づき)を蒸して使用します。
2. カメ壷の中で、「糖化」「アルコール発酵」「酢酸発酵」が順次に起こります。
3. 発酵は自然の作用(地熱・気温)にまかせます。発酵のための温度調整や酵母・酢 酸菌などを人的に添加することはありません。
一般の食酢の製造方法は以下のとおりです。
1. 原材料には胚芽やぬかを取り除いた白米を使用します。
2. 糖化、アルコール発酵、酢酸発酵は、各工程ごとに菌を人的に加えて発酵させます。
3. タンクの中で温度管理をして熟成させますので、1~3ヶ月の短期間で製造できます。
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鹿児島県には「重久盛一酢醸造場」を含み、カメ壷による露天静置醸造によって黒酢を造っているメーカーは全部で7社あり、1990年「鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会」を発足させました。
同協会では、つぼを使い半年以上の発酵・熟成期間をかけるなどの条件を満たした製品には「ふるさと認証食品」のマークを付けて出荷しています。
同じ福山町の黒酢でもこの条件を満たしていない場合はマークがついていませんので、注意してください。
米酢は「よねず」とも呼ばれ、1リットルの酢を造るのに40g以上の米を使用すれば「米酢」と表示できます。ただし、米の使用量が少ないとアルコール発酵が起こりにくいため、アルコールを添加して補っている場合があります。アルコールを添加しないで米だけを原料としているものは「純玄米酢」と表記されています。
アルコールを添加しているかどうかを見分けるには、品質表示ラベルの原材料名をチェックします。米だけの製品は「米」、アルコールが添加されたものは「米、アルコール」となっています。
また、醸造酢には、純度95%のアルコールで酢酸発酵させてつくった「アルコール酢」もあります。原材料には砂糖の精製過程でできるサトウキビのカスである廃糖蜜をアルコールの原料にしているものもあります。
昔はサーカスの人がからだをやわらかくするためにお酢を飲んでいるといった事が信じられたりもしていましたが、実際にお酢を飲んでからだがやわらかくなるわけではありません。
アクロバットに限らず、空中ブランコ乗りモサーカスで過激にからだを使う人達の秘伝の健康法として、疲労感を取り除く手段としてお酢を活用していたようです。
大変申し訳ございません。壷で作る黒酢は前説のとおり、屋外のカメ壷の中で長期間の発酵と熟成を経て造られるため、1つ1つのカメ壷で発酵度合い、味、色が違ってきます。
そこで半年間小型のカメ壷より一次発酵を行った後、さらに半年間(重久醸造だけ)大型のカメ壷へ移し、2次熟成をして味の均一化と内容成分の安定に努めております。
しかし、どうしても自然を相手に造られる黒酢はその年ごとの気候条件や原料米等により、多少の味や色合いが異なります。ただ、酸度とpHを毎回測定し、規定値通りである事を確かめた後に出荷しておりますので、品質的には何ら問題はございません。
今後とも日々研究を重ね商品の均一化と味と質、内容兼ね備えた良き商品をお届けすべく、細心の注意を払って製造しておりますが、なにぶん自然を相手に造られますことをご理解下さい。
玄米黒酢の賞味期限は2年です。お酢は味噌と一緒で発酵食品ですので、腐ったりする事はありませんが、味や品質は変わっていますので保証はできません。恐らく、色は真っ黒になり、瓶の中に栄養成分が固まったオリと呼ばれるものが生成していると思います。
どうしても、もったいないと思われる方は、飲む以外にもお酢の殺菌作用を利用して、洗剤代わりに使ったりもできますので、他の活用法を考えてみて下さい。
申し訳ございません。原料のお米は地元鹿児島県の米を使用していますが、完全無農薬の米は絶対的な量が不足しておりますので、今のところ一般的な残留農薬基準を満たしている玄米を使用しています。
今後、無農薬の生産者がより増え、供給量が確保できるようになれば、切り替えていきたいと考えています。
お酢には様々な原料や製法があり、特に醸造酢は内容成分が大きく変わってきます。お酢を見比べる場合は、次の3つの要素を確認して下さい。
1. pH: お酢は基本的には酸性で、pHは3.0~3.5あります。しかし、体内に入るとアルカリ性に変わります。
2. 酸度: 酢の強さで、数字が大きいほど酸味が強くなります。一般的なお酢の酸度は4.2%ですが、まるしげ玄米黒酢は4.3%です。
3. 全窒素: お酢のいわゆる旨みの成分です。アミノ酸やたんぱく質、アンモニアなどの可溶性固形分(エキス)を指します。アミノ酸は全窒素の中の約50%~60%占めており、特に黒酢はこの割合が高くなっています。
残念ながらお酢はビタミンやミネラルなどの微量栄養素については、決して優秀な食品ではありません。最近重要視されている食物繊維もほとんど含まれていません。
しかし、お酢はビタミンやミネラルを豊富に含む食品と一緒にとることで、微量栄養素の破壊を防止するのを防ぐだけでなく、体内での消化吸収力を高める働きがあると言われています。